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疑惑の濁流・三浦元社長、死の36時間前「さよなら」のメッセージ 幕を閉じたロス疑惑

疑惑の濁流・三浦元社長、死の36時間前「さよなら」のメッセージ 幕を閉じたロス疑惑

 ロサンゼルス空港に到着した三浦和義元社長。その帽子には…。左はロス市警のリック・ジャクソン捜査官=10日午前(代表撮影・共同) 「容疑者に自殺させるぐらいなら、最初から事件などやらないほうがいい」。殺人を扱う警察捜査員の間では鉄則のように語られる「容疑者に自殺させるな」。それが米国で起きてしまった。しかも、その事件はあの著名な「ロス疑惑」。弁護人は“自殺”を受け入れず、他殺説を訴えてロス市警を追及する。三浦和義元会社社長(61)=日本で無罪確定=の死は自らの意思によるものなのか、それとも―。きわめて異例の曲折をたどったこの事件の“結末”を検証してみよう。

【帽子のメッセージ】

“自殺”の約36時間前。10月10日午前1時15分(日本時間)、三浦元社長はサイパン国際空港にいた。

「一言お願いします」

ロス市警の捜査官に囲まれる元社長に、報道陣からの質問が相次ぐ。
だが、元社長は口を真一文字に閉じたまま何も語らない。
2月にサイパンで拘束されたときと同じスタイルを貫いていた。
グアム、ハワイ経由でロスへと移送される機内でも、元社長は無言のままだった。かといって、ふさぎ込んでいる訳でもなさそうだ。
機内では手錠をしたまま小説を読みふけり、機内食を平らげ、コーヒーをおかわりした。いつもと変わらぬ元社長の姿がそこにはあった。
サイパンの収容所でも1人でいることが多かったものの、問題を起こしたこともなく自殺の兆候はなかったという。
ロス市警も「自殺の懸念があるとはみなされていなかった」という。
だが、これまでと違っていたことがひとつだけあった。
還暦を越えた年齢には不相応な「帽子」だ。サイパン滞在中には見たことがない帽子だった。
移送の際にかぶっていた黒い帽子には、大きなアルファベットでこう書かれていた。

 《PEACE POT MICRODOT》

これら3つの単語は大麻やLSDといった規制薬物を意味するスラング(俗語)。これを並べると、「お幸せに、そして、さようなら」を意味する、別れ際のあいさつになるというのだ。このあいさつはヒッピーの間でよく使われていた言葉だという。

「誰が帽子を渡したか分からない。彼(元社長)が好きで買ったと聞いているが、サイパンで買ったかどうかは知らない」
ロス市警のリック・ジャクソン捜査官はそう語った。
元社長はヒッピー用語を理解し、移送前から死を意識し、何らかのメッセージを発していたのだろうか。

【日本よりも自由な留置施設】

一美さん銃撃事件以来、27年ぶりに“因縁の地”であるロスに降り立った元社長。27年前の「悲劇の夫」は紆余曲折を経て「容疑者」へと変わっていた。

元社長は空港からは用意された車でロス市警本部へ搬送され、指紋の採取や写真撮影など所定の手続きをとられた後、市警本部地下1階にある施設に留置された。
その留置施設は、日本の拘置所とはずいぶん勝手が違う。

関係者によると、3方を壁に囲まれ、正面のドアにはワイヤが埋め込まれた強化ガラスの窓があって、外側から中を覗くことができる。廊下にはマイクが設置されているものの、監視カメラはない。元社長は1人で収容されたが、2人収容できる部屋だったため、房内には2段ベッドが置かれていた。元社長はこのベッドを使って首をつっていた。

ロス郡検視局によれば、2段ベッドは高さ約120センチ。移送される際に着ていたシャツをベッドの骨組みの一番上に結びつけていたという。

係官による巡回は30分おき。

当時の定期巡回では異常は認められず、10分後に通りかかった係官が元社長の自殺を発見したのだという。11日午後1時45分(日本時間)のことだった。

ロス市警の監視態勢には問題はなかったのだろうか。

「判決前のため『推定無罪の原則』が働き、かなりの自由が保障されている」

米国の刑事司法に詳しい駿河台大法科大学院教授の島伸一弁護士によると、米国の留置施設は日本に比べ、かなりの自由が認められているという。昼間にシャワーを浴びることができるほか、外部への電話も可能。

ただ、この自由が監視態勢の緩みにつながっている面はなかっただろうか。

元警視庁捜査1課長の田宮栄一氏は「留置施設の管理のやり方は国によって異なるとはいえ、自殺は大変なミスだ」と指摘する。
そのうえで、ロス市警の監視態勢に疑念を呈した。

 「自殺しようと思えば自分の下着を飲み込んだり、タオルで首をつることもできる。だからこそ容疑者が異常な行動を起こす前に防ぐ必要がある」

 移送後、「20年間、ある人物を逮捕するために待ったんだ。気分はいい」とご満悦の表情を浮かべていたジャクソン捜査官も、自殺を発表する記者会見ではがっくりと肩を落としていた。

【弁護側は「他殺」主張 その「証拠」は…】

 「(当局の説明は)ごまかしや虚偽の疑いが濃厚だ」

 元社長の“自殺”を否定し、「他殺説」を唱えるのは元社長のロスでの代理人を務めるマーク・ゲラゴス弁護士だ。

 弁護側は米連邦検事局に調査を要請する方針で、独自に検視も病理学者に依頼した。

 弁護側が「他殺」と主張する根拠とは-。

 (1)背中に、殴打されてできたとみられる「細胞組織の傷」があった。

 (2)首を絞められたことによってできた可能性のある血腫が、のどにみつかった。

 (3)首に残された跡が、シャツを使った首つり自殺とされる状況と一致しない。

 病理学者による検視で弁護側は3点の矛盾点を指摘し、ロス郡検視局に検視のやり直しを求めた。

 だが、検視局ではすでに「自殺以外の死因を示唆する証拠はみあたらない」とする報告書を提出。弁護側の請求を拒否した。

 他殺とするならば、当然「誰が、何のために」という疑問が浮上する。

 独房での殺人事件は完全な“密室殺人”であり、入り口の鍵を管理するロス市警関係者以外に“犯人”は考えられないのだが…。

 こうした見方に対し、警視庁で鑑識を担当してきたOBはこう言って、弁護側の「他殺説」に首をかしげるのだ。

 「あざのような明確な外傷がないから『細胞組織の傷』という表現をしたのだろう。血腫についても、自殺でつくこともある。いずれにせよ、解剖もせずに検視だけで“他殺”を主張するのは無理がある」


【「共謀罪」に怯えた? 元取調官が明かす気弱な姿 】

 「ロス郡地裁で開かれた逮捕状取り消し請求での決定が、元社長に自殺を決意させたのではないか」(日本の司法関係者)

 9月26日。

 ロス郡地裁で、元社長が執行された逮捕状が有効か否かの決定が下された。

 その決定とは-。

 殺人罪については「日本で無罪判決を受けており、同じ罪で2度裁かれることを禁じる一事不再理規定に反する」として無効。

 一方で、共謀罪での訴追は「有効」としたものだった。

 共謀罪は、2人以上が犯罪の実行を合意しただけで処罰できる。日本では制定されていないため訴追されることはなかったが、米カリフォルニア州では終身刑もあり得る重罪だ。そして、ロス市警でも共謀罪の立証は固いとみていた。

 「元社長は銃撃事件の前に実行された一美さん殴打事件で実刑が確定している。このときの裁判記録や、捜査関係者、共犯者の証言から『共謀』があったことは容易に裏付けられる」

 20年前に元社長を取り調べた経験のある元警視庁捜査1課理事官の大峯泰広氏(60)はこう解説する。そして大峯元理事官は、郡地裁の決定が、元社長にとって精神面での重圧になっていたとみている。

 大峯元理事官が取り調べた際、雑談には冗舌に語っていた元社長だが、事件の話になれば、視線を外し、取調室の電話機をジーッと見つめ、目線を合わせなかったという。

 「不利になると、彼は視線を外す」

 そうした仕草から、元社長を「甘やかされた気が小さいお坊ちゃん」と感じた。

 「常に誰かに甘えてきた人生だった。今回の共謀罪については『逃げられない』と観念し、死を選んだのだろう」

 大峯元理事官は、悲観しての自殺とみている。

 10月25日夕。

 黒いコートに身を包んだ元社長の妻が、ロスから成田空港に到着した。妻の両手には元社長の骨つぼが抱かれていた。

 元社長の死で、事件としての「ロス疑惑」は封印される。だが、波乱の展開をたどってきた疑惑は事件史に刻まれると同時に、永遠に社会に謎をかけ続けることになった。

 元社長は自ら命を絶ったのか、それとも...


ペイリン氏かつがれた 偽サルコジ氏と電話で会談

ペイリン氏かつがれた 偽サルコジ氏と電話で会談

米共和党の副大統領候補ペイリン氏は1日、サルコジ仏大統領のふりをしたカナダのコメディアンによるいたずら電話に引っかかり、数分間にわたって「国際電話会談」に応じてしまった。 カナダからの報道によると、いたずら電話をかけたのは著名人や政治家をだますことで有名なお笑いコンビ。仏語なまりの英語で「サルコジです」と語りかけると、ペイリン氏はすっかり勘違い。でたらめなカナダ首相の名前などを言われても気づかず、いたずらと打ち明けられるまで約6分間、会話を続けた。米大統領の座への意欲を聞かれて「もしかしたら8年後に」と漏らす場面も。 米メディアによると、ペイリン陣営はだまされたことを認め、「いたずら電話をされた国家指導者や有名人のリストに加わって少し喜んでいる」と悔し紛れのコメントを出した。

午後3時、突然「全員解雇」 サブプライムで会社破綻

午後3時、突然「全員解雇」 サブプライムで会社破綻

【1】
 米国発の金融不況の波が、日本の生活を脅かしている。不況の波は様々な業界に広がりつつあり、順調に成長していたかに見えた会社にも、余波が押し寄せている。ふだんどおりに出社した人がある日、突然、会社の倒産を知る。そんなことが現実に起きている。

【2】
(宮地ゆう) 何かおかしい――。東京都港区に本社がある不動産賃貸の家賃保証会社「リプラス」に勤めていた河原久永さん(37)が異変を感じたのは、「その日」の朝だった。 9月24日。朝礼で次長が「今月は給料の支払いが29日になります」と言った。いつもなら明日が給料日のはずだった。 「ちゃんと25日に支払って欲しいんですが」。朝礼後、課長に言うと、「午後3時ごろになったらわかるから」と言われた。 河原さんは21歳から大手消費者金融に14年間勤めた。しかし、業界全体を覆った利用者の過払い問題、改正貸金業規制法の成立などで会社の経営に暗雲が立ちこめた。「40代になったとき、会社が傾いたとしても、手に職をつけておきたかった。ゆくゆくは独立して不動産業を営みたいとも考えていた」。1年前、「将来性がある」と見込んだリプラスに転職した。 連帯保証人がいなくても賃貸契約ができる――。02年に設立されたリプラスは不動産業界で新ビジネスを手がけ、東証マザーズ上場の企業に急成長。数年で従業員約千人を抱えた。 河原さんが配属されていた家賃保証部門は不動産投資部門と合わせ、同社の柱だった。入居予定者は高齢化などで連帯保証人がいなくても、保証料をリプラスに支払うことで賃貸契約を結べ、大家は家賃の保証がされるという仕組みだ。不動産管理会社も次々と加入していた。河原さんは「勢いのある職場だった」と振り返る。一方、不動産投資部門はリプラスがファンドを募り、主に住宅に投資していた。 午後3時。約200人の社員が社内のフロアに集められた。見たことのない男性がいた。「破産管財人の代理」と名乗った男性は一言、言った。「リプラスは破産手続きを開始しました。10月24日をもって全員解雇します」 社員からは声すら上がらなかった。ようやく誰かが言った。「マジかよ」 「質問があればファクスで」。あっという間の解雇だった。

【3】
振り返れば7月ごろ、うわさがあった。「米国のサブプライムローン問題の影響で不動産投資事業の資金繰りがつかなくなっているらしい」。同社の両輪の一つである不動産投資部門を縮小するという話もあった。しかし、きちんとした説明はないままだった。 リプラスは「今年2月以降は恒常的に運転資金が不足する状況だった」と説明する。サブプライム問題の影響で日本から外資ファンドが次々と撤退。家賃保証部門は順調に伸びていたものの、不動産事業の資金繰りは悪化の一途をたどった。倒産時の負債総額は326億円に上っていた。 約2週間後の10月10日午後5時。事業の譲渡先企業についての説明会に行くと、今度は「本日付で即日解雇」と告げられた。「午後7時までに私物をすべて片づけて出て行くように」と言われた。 河原さんの9、10月分の給料は今も支払われていない。親から借金をしながら、再就職先を探す毎日だ。 解雇された従業員のうち約200人は、譲渡先の会社に再就職した。しかし、いまも職のあてのない人は多い。生活のめどが立たず、消費者金融に手を出した人もいる。 河原さんら50人あまりは連合東京を頼りながら組合を立ち上げた。組合員は100人に膨らんだ。給料支払いなども求めて、交渉中だ。 「こんなことになるなら転職しなかった。もう、確実だと思える会社なんてないのではないか」。再就職先探しは、いまも続いている。



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