サモア地震、死者「200人超」 津波6メートル情報も

サモア地震、死者「200人超」　津波6メートル情報も

　米地質調査所（USGS）によると、29日午前6時50分（日本時間30日午前2時50分）ごろ、南太平洋のサモア近海で強い地震があった。震源は同国の首都アピアの南約195キロの地点で、震源の深さは約18キロ。日本の気象庁によるとマグニチュード（M）は8．3。サモア保健省によると、少なくとも48人の死亡が確認された。ロイター通信によると、サモアから約100キロ離れた米領サモアでも少なくとも24人が死亡した。犠牲者はさらに増えるおそれがある。

　アピアにある病院の医師は朝日新聞の電話取材に「200人を超える死者が出ている。いくつかの村が津波で完全にのみ込まれて消えてしまったようだ」と答えた。米領サモアでも犠牲者数が増えるおそれがあるが、停電や通信回線の途絶で被害状況の把握が難しい状況が続いている。

　太平洋津波警報センター（ハワイ）は一時、ニュージーランドやフィジーを含む南太平洋の広い範囲に津波警報を出した。同センターによると、米領サモアの中心都市パゴパゴでは地震の約40分後に1．57メートルの津波が、またハワイでも18センチの津波が観測された。

　AP通信によると、サモアでは揺れが2～3分続いた。観光地の海岸は壊滅状態で、逃げ遅れた人が多数犠牲になった模様だ。同国を訪れていたニュージーランド人は「すごい勢いで村ごと消滅した。建物もなくなった」と話したという。強い余震が続いている。　ニュージーランドからの報道では、サモアでは震源に近い南岸で家や車が波にのまれ、海に流されていったという。

　AP通信は、パゴパゴの国立公園管理者が米カリフォルニア州の国立公園局に「4回にわたって高さ4．5～6メートルの津波が来て、内陸約1．6キロに達した」と伝えてきたと報じた。オバマ米大統領は、米領サモアを激甚災害地域に指定したと発表した。AFP通信によると、米連邦緊急事態管理局（FEMA）は29日、米領サモアに緊急援助隊を2チーム派遣することを決めた。

　韓国外交通商省は30日、この地震で米領サモア在住の韓国人2人が死亡、1人が行方不明になったと明らかにした。米領サモアには234人の韓国人が住み、ほとんどが遠洋漁業従事者だという。　在ニュージーランド日本大使館などによると、在留邦人はサモアに107人、米領サモアに5人。外務省が安否を確認中だが、日本人の被害情報は入ってきていない。　サモアは、南太平洋の中心に位置するサモア諸島のうち西側の9島からなる。人口約18万7千人。米領サモアは、サモア諸島の東側7島からなる。人口約6 万8千人。