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命綱の灯油券、紙くず 発行の業者破綻、年金生活者直撃

命綱の灯油券、紙くず 発行の業者破綻、年金生活者直撃

【1】1世帯当たりの灯油の消費全国一の青森で、「安売り」で名をはせた石油小売会社が経営破綻し、前払い式の灯油券だけが購入者の手元に残った。倒産原因として指摘されるのが、原油価格の変動と「貸し渋り」。影響は、節約を重ねてきた年金生活者を直撃している。

【2】青森市の無職蝦名正子さん(75)は10月6日、昼のテレビニュースで「柿本石油」の全店舗が閉店したことを知った。540リットル、約6万円分の灯油券が手元に残った。灯油券を買ったのは、価格が上がる傾向にあった6月。「今後は(灯油価格が)上がっても、下がることはない」と言われ、買い込んだ。「見る目がなかった」と話す。2DKの団地に長男(39)と2人暮らし。FF式のヒーター1台だが、ひと冬で720リットル、ひと月では約150リットルの灯油を使うという。年金をもらう身には6万円は大きい。午後5時までは部屋の電気をつけず、テレビは極力見ないようにしているという。

【3】青森市内のパートの主婦(60)は、5月に買った約20万円分の灯油券を持つ。夫(63)の年金と自分のパートの給料で合わせて約30万円の月収だが、そこから税金や各種保険料を払っているので、生活費は毎月ぎりぎり。冷蔵庫が空っぽになるまでスーパーに買い物に行かないようにするなど、日頃から倹約を心がけている。節約のため、冬場の室温を20度から18度に下げた。それでも月350リットルの灯油を使う。

【4】72年に創業した柿本石油は、04年以降、青森県内を中心に灯油やガソリンの安売りで店舗を拡大した。東京商工リサーチ青森支店では、破綻について、原油高で仕入れ費用が想定以上にかかり、利益確保が思うようにできなくなったのが原因、と分析する。さらに10月に記者会見した社長は、大手都銀から融資が受けられず、資金調達に行き詰まったことが原因の一つであると語った。被害者救済に取り組む花田勝彦弁護士によると、事務所に設けられた相談ダイヤルには12日現在905件の相談が寄せられている。灯油券などの債権を届け出るための書類は約7千枚がはけた。しかし、同社は破産手続き中で、残っている財産が確定しても、税金や解雇された元従業員の未払い賃金が優先される。

【5】花田弁護士は「灯油券の返金は現状としては難しいといわざるを得ない」という。石油情報センターによると、灯油価格は現在、8月のピーク時よりも18リットルあたり約千円以上下がった。しかし、業界関係者によると、消費者の節約傾向が変わらず、需要が盛り返さないなかで価格競争が激化しているという。「価格の先行きも見えない。石油小売りにとって、相当苦しい時期はまだ続くだろう」と話している。
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